2011 年 1 月 31 日

「真面目に生きる」
大野逸雄(浅草組 天嶽院)
最近、学生の頃に読んだ本をまた読んでみようと思ってその本を読み返してみました。夏目漱石の『こころ』という本です。きっかけは東京大学大学院教授の姜尚中(カンサンジュン)先生の『悩む力』という本に、『こころ』の文中の“真面目に生きる”ということを抜粋して書いてあったからです。姜先生は一九五〇年生まれですので丁度還暦を迎える歳だと思います。
私も九州出身で先生も熊本出身の在日ということをはっきり言っておられるので、あの当時の在日の人達は田舎で随分いじめられたのではないかと想像することが出来ます。親からは在日の子として真面目に一生懸命生きろと強く教えを受けてきたと思います。
その『こころ』は一人の大学生が夏の鎌倉の海で「先生」と呼ぶ人と出会う所から始まります。そして「先生と私」の項のところに、人間嫌いの先生に「真面目に人生から教訓を受けたい」と先生を問い詰める下りがあります。
「あなたは本当に真面目なんですか」と先生が念を押した。「私は過去の因果で、人を疑りつけている。だから実はあなたも疑っている。しかしどうもあなただけは疑りたくない。あなたは疑るにはあまりに単純すぎるようだ。私は死ぬ前にたった一人で好いから、他(ひと)を信用して死にたいと思っている。あなたはそのたった一人になれますか。なってくれますか。あなたははらの底から真面目ですか。」「もし私の命が真面目なものなら、私の今いった事も真面目です」…という文章なのですが、私たちはこの真面目という言葉を現代ではややもすれば、妙に堅物的な人間、柔軟性のない人に当て嵌めて使ってしまいがちです。姜先生はこの短い文章を見逃さずに真面目ということをずっと通して来られたと推測することが出来ます。物事の一つ一つを真面目に取り組み、真面目に行動するという事が如何に難しいかを改めて感じてしまいます。
朝起きてからの仕事、趣味、遊びなど一つ一つの行動を真面目に真剣に取り組んでいるかと自問自答していくと真面目に生きるという事が本当に大変な事だということが分かります。往々にしてやっつけ仕事の様に簡単に済ませてしまっている自分を見る事が出来るのではないでしょうか。
私達が常に称えるお念仏にしても一声一声本当に極楽に往生させて下さいという気持ちを込めて真面目にお念仏をする。
法然上人も「但し三心四修と申すことの候は皆決定して南無阿弥陀仏にて往生するぞと思ううちにこもり候なり」と真面目に極楽往生の気持ちを込めてお念仏する事の大切さをお示し下さっています。今からでも遅くはありません。日々の一つ一つの行動が真面目に出来ているか反省をしながら送りたいものです。合掌
カテゴリー: 今月の法話 |
2011 年 1 月 20 日

2月23日・24日
13:00~16:30
場所:大本山増上寺三縁ホール
受講料:無料
約200名の皆さまにご参加をいただきました。
ありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第1日目 2月23日(水)
13:00~開講式
13:15~14:45 第1講 「人間法然」

講師:童門冬二先生
(作家・法然上人をたたえる会会員)
『The 法然』 (浄土宗報恩明照会)にて
「人間法然」を連載中。
協力:浄土宗東京教区布教師会
14:45~15:00 休憩
15:00~16:30 第2講 「法然上人といのちの感受性」
講師:石丸晶子先生
(国文学者・東京経済大学名誉教授
・法然上人をたたえる会会員)
『月刊 浄土』 ( 法然上人鑚仰会)にて
「法然上人をめぐる人々」を連載中。
協力:浄土宗東京教区寺庭婦人会
第2日目 2月24日(木)
13:00~14:30 第3講
「防災シリーズ⑥「大震災に向けて
~帰宅困難者について」
講師:田中真人先生(日本赤十字社
東京都支部 救護課)
14:30~14:45 休憩
14:45~16:15 第4講

「ダウン症 金澤翔子 いのちと書」
講師:
書道実演 金澤翔子先生(書家)
講 演 金澤泰子先生(書家)
協力:浄土宗東京教区児童教化連盟
著書:『天使がこの世に降り立てば
ダウン症の書家・金澤翔子を育てた母の日記』
『天使の正体 ダウン症の書家・金澤翔子の物語』(かまくら春秋社)
『愛にはじまる ダウン症の女流書家と母の20年』(ビジネス社)
16:15~16:30 閉講式
カテゴリー: お知らせ |
2011 年 1 月 11 日

いよいよ、法然上人八百年大遠忌 東京教区念仏行脚が始まりました。
今日は芝組です。
会館の広間でのオリエンテーションにて、芝組組長 小林正道上人のご挨拶です。
みんな緊張している様子。
カテゴリー: 東京教区内念仏行脚 |
2011 年 1 月 10 日
5 月21日(土)13:00~22日(日)13:00
場 所:大本山増上寺 光摂殿
参加費:参加時間・内容による
詳しくはこちら(申し込み票付きパンフレット)をご覧下さい。
当日はこちらにてライブ配信されます。
(仙台、台湾、ハワイ、ブラジル、パリ、ブリスベン
の各会所と相互中継されます)
主 催:「東京の中心で、仏の名を呼ぶ」実行委員会
〒105-0011 東京都港区芝公園2-2-13観智院内
電 話:03-3431-1450 Fax:03-3431-7807
本行事特設E-mail:nenbutsu24@hotmail.co.jp
カテゴリー: 念仏会のお知らせ |
2011 年 1 月 1 日

「お念仏に支えられて
ーお念仏の声は家庭からー」
平岡仁成(豊島組 徳性寺)
亡き人の供養をすることによって、予期せぬ功徳を受けることがございます。私の寺のお檀家のことで、恐縮ですが、そのことを書かせていただきます。今年の夏の猛暑の最中、七月に亡くなられた奥さんの百ヶ日のときのことです。おばあさんが墓参にこられ、「仏壇を買ってよかった。家の中が明るくなった」というのです。
五七日忌の時、新しく仏壇を買ったので、開眼供養をお願いしたいとの依頼を受けました。読経開眼のあと、私は亡くなられたお母さんの御供養を御主人だけにお任せしてはいけません。みんなで御供養するようにと、お話しいたしました。
その家は、残された御主人とおばあさん、それから社会に出た娘さんと高校生の息子さんの四人暮らしです。私はおばあさんの話が意外だったものですから、そのいきさつを尋ねました。
和尚さんがいわれたように朝きまった時間に全員でおまいりをするようにいたしました。娘が仏壇にあげるお膳をつくり、息子が水を取り替え、お茶をあげる。お父さんはローソクに火をつけ、お線香をあげる。おばあさんはお念仏を唱えおまいりをする。それぞれ違う仕事ではありますが、すべて亡くなったお母さんの御供養になるという思いから、みんな真剣、おばあさんは、みんなを激励しながらの毎日でした。みんなが、仏さまへのお給仕を自分の仕事にすることによって、お互いに励まし、励まされるようになったのです。
ですから、誰かが寝坊して、その所が滞ると、まだお膳があがってないよ、お茶があがってないよ、といわれます。馴れてくると、だんだん皆んなが自分の仕事を、他人にいわれなくとも、自分の責任と思ってこなすようになってまいりました。別の言葉でいえば、供養をみんなでするんだという役割分担がはっきりしてきたのです。そうしますと、みんなが同じ時間に起きるようになったし、おまいりは勿論、食事までが、一緒にするようになりました。そこに家族としての会話が生まれてきたのです。お父さんは会社の話、息子さんも学校の話、そこから秋の学園祭の話がでて、今度はお父さんが見にいくよと約束したり、おばあさんのお習字の展示会の話も出て皆んなでいってみようかということにもなったのです。
いままでは、ただ食べるだけという食事で、食事の時間もバラバラでした、それこそ自分たちの都合のいい時間に、好きなものを好きなだけ食べるという、いまいわれている孤食の摂り方でした。ですから、顔を会わし、話す時間もありませんでした。そこに仏壇を買い、お母さんの供養をすることによって大きな変化が起こったのです。
会話の乏しかった家族の生活が明るく、変わってきたことは確かでした。いまは食事の時間のむだもなく、味噌汁なども温めなおすこともなく、冷めないうちに食べられるようになりました。これは単に仏壇が新しくなったという話ではありません。そこには、仏壇を中心にした生活をすることによって、仏にお守りをいただくのだという、おばあちゃんの話を喜びのうちに聞くことができました。予期しない家庭の団欒が戻ってきたのです。
仏壇の縁によって、お念仏の力がみんなの心を一つにし、亡くなったお母さんのお守りをいただいた一家の話として、書かせていただきました。
法然上人八百年の大遠忌を迎える心の準備はできたでしょうか。浄土宗二十一世紀の劈頭宣言の中に、家庭にみ仏の光を(あたたかい家庭を築こう)という目標が、こんな形で、身近な所から、力を発揮されたことは、すばらしいことです。まさにお念仏の力だと思います。
カテゴリー: 今月の法話 |