2011 年 5 月 31 日

「法爾・・・あるがままに」
杉浦靖俊(八王子組 大昌寺)
3月11日の東日本大震災より早二ヶ月半、被災された方々の支援が遅々として進まない様子にいらだちを覚えます。また福島の原子力発電所の事故も政府や東京電力の発表とは違い、当初から一部で懸念されていた冷却水喪失によるメルトダウンであったことが判ってきました。3月15日には水素爆発が起き多量の放射性物質が福島県はもとより南東北から関東平野一円に飛散し、これからも汚染は続いていくようです。
そんな騒然とした翌日の16日、法然上人800年遠忌にちなみ、上人の遺徳をたたえ宮内庁より『法爾』という八つ目の大師号を頂戴しました。本来なれば一宗を上げてお祝いをすべき慶事が一転、津波による被害の大きさが判明するとともにその悲惨さに心を痛め、放射能被曝への不安も相まってお祝い気分はかき消され、遠忌法要も順延することになってしまいました。
さて、今回贈られた大師号『法爾』とは「あるがまま」若しくは「運命がそのように定まっている事」を表す言葉で、法然上人のお名前の由来でもある「自然(じねん)法(ほう)爾(に)」にちなむものです。比叡山の権力争いから逃れ黒谷の地に出離遁世した叡空上人から法爾自然として門下に入らんとこの地に赴いた若き上人に「法然房」という号と最初の師の源光と叡空からの一字を合わせ「源空」というお名前を授かったと伝えられています。
法爾も自然も共に「法のおのずからしからしむる事」「本来あるがままの自然のすがた」を表す言葉です。善人は善人ながら、悪人は悪人ながら、あるがままに念仏を称えることこそ阿弥陀仏の救済に預かる唯一の道であると説かれた法然上人にふさわしい諡(おくりな)と思います。
一刻も早く被災地域の復興が緒につき、原発の事故処理の方策にも目処が付いて、改めて遠忌にあたり法然上人の遺徳を偲び、晴れて大師号奉戴を心からお祝いできますことを願っています。
ところで、先日参議院の委員会に参考人として出席した、専門家として長年にわたり反原発を唱えてきた京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生が、持論を述べた締めくくりにマハトマ・ガンジーの言葉を用いて、東電、国政、そして自身を含め原子力に関連してきた科学者を鮮やかに批判していました。それはガンジーの墓石に刻まれたもので、鳩山前首相も現職当時インドを訪問した折この言葉に感動して国会演説の中で引用していた記憶がありますが、今回の事故を踏まえた小出先生のものは重みが違います。
『7つの社会的罪』
1. 理念なき政治
2. 労働なき富
3. 良心なき快楽
4. 人格なき学識
5. 道徳なき商業
6. 人間性なき科学
7. 献身なき崇拝(信仰)
最後の『献身なき崇拝(信仰)』とは色々な受け止め方があると思いますが、自己犠牲・自己否定、若しくは自己超越なしに真の信仰や宗教はありえないということなのでしょう。
お念仏の教えに引き当てれば、凡夫の自覚のもとにありのままの姿で彌陀の名を称え、大いなる力に身をゆだねる中に必ずや救いがあるという法然上人の教えを思い起こさせてくれました。
ガンジーの言葉にはこんなものもありましたね。
『善きことは、カタツムリの速度で動く』
体内被曝に注意は必要ですが、お念仏の中に焦らず希望を持ち、免疫力を高め、日々自身の与えられた務めに淡々と励んで行きましょう。
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2011 年 5 月 31 日
仏教への理解を高め、お念仏の信仰を深めるために、
浄土宗東京教区教化団が開く教養講座です。

(各回共通)
時間:13:00~15:45
場所:大本山増上寺三縁ホール
受講料:各回とも1000円
お問合せ・申し込み:
東京教区教務所まで
(↑「申込書」 詳細はこちらをクリックして下さい。拡大します)
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第1回 9月16日(金)
「大乗の仏と菩薩」
花園大学教授
佐々木 閑先生
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第2回 10月20日(木)
「法然上人と熊谷直実」
熊谷直実31代末裔
ミュージカルプロデュ-サー
熊谷かおり先生
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第3回 11月18日(金)
ウクライナの歌姫
ナターシャ・グジー コンサート
~水晶の歌声と
バンドゥーラの可憐な響き~
(撮影:広河隆一)
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2011 年 5 月 24 日

6月23日(木)8:00集合 17:45解散予定
(於:大本山増上寺)
参加費:6000円
今年度も多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。
( ↑ 詳細はこちらへ・クリックすると拡大します)
①建長寺
臨済宗建長寺派の大本山。
増上寺より「お江の方」(崇源院・秀忠婦人)の御霊屋が移築された「仏殿(重要文化財)」等も参拝いたします。
②鎌倉能舞台
狂言の観賞・ワークショップに参加していただきます。
③鎌倉大仏高徳院
浄土宗の名刹であり、鎌倉の象徴でもある「大仏さま」を
参拝いたします。
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2011 年 5 月 3 日

「救いのため、歩みだした阿弥陀さん」
村山好信(江東組 良信院)
今年の一月に半年間の闘病生活の末、大腸がんで亡くなった六十三歳の男性のお話です。
通夜供養の前に、「苦しんで顔が歪むほどであったので主人を楽にしてやって下さい」と涙ながらに奥様からお願いされたのです。あまりにも苦しい顔なので皆にお別れをして頂くにも辛いようでした。
私と同じ歳であったので特に一心に念仏供養を申し上げたのですが、通夜の読経の最中に不思議なことがありました。その祭壇の弥陀三尊のお掛け軸の阿弥陀様の右足が出たり引っ込んだりしているのでビックリしたのです。私の眼がおかしくなったのではと驚きながらも読経を済ませました。
寺に戻り家族にこの事を話したら、笑って、疲れていたでしょうと一蹴されてしまいました。
次の日の葬儀に奥さんが「昨日は本当に有難うございました。主人の顔を見て下さい。昨日と違い穏やかに良い顔をしています。昨晩は誰にも見せることができなかったが、穏やかな顔を親族の方々に見て頂きました。」と申されておりました。
私も昨晩の阿弥陀さんの右足の話を致しました。参列者は「念仏の功徳と成仏するということ、救われるということを目の前で体験し実感させて頂きました」と感激しておりました。
葬儀の最後に法然上人が詠まれた
月影の いたらぬ里は なけれども
ながむる人の 心にぞすむ
を皆さんと共に称えさせて頂き、南無阿弥陀仏と称えれば平等に救われる教えを味遇わせて頂きました。
特に最近「葬儀はいりません。戒名はいりません。お墓はいりません。」と言うと何か現代的で進んだ考え方であるかのように思っている方が多いですね。お念仏によって救われるこの有りがたさに触れることのできない人達を私はかわいそうな人と思うようになりました。
最近、有名になった九十八歳の詩人、柴田トヨさんの詩集『くじけないで』(飛鳥新社刊)に合うことができました。
陽射しやそよ風は えこひいきしない
夢は 平等に見られるのよ
お念仏を称える人々を阿弥陀様の平等施一切の心に触れさせて頂き、気持ちよさと有りがたさを感じさせてくれたような気がしました。
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